【オフィシャル】人形町今半

鍋の〆とふわ玉ご飯

2026年09月03日

湯気がふわりと立ちのぼり、お鍋をわいわいと囲む幸せなひととき。その後で、お腹が満たされた頃でもお肉やお野菜の旨味がたっぷりと染み出たお出汁を前にすると、不思議と胸が高鳴る瞬間があります。
”その日の〆は何を作ろうか___?”いろいろな鍋の〆があるなかで、その日にできるものはたった一つ。わくわく心を弾ませて考えるこの時間も、お鍋のもうひとつの醍醐味。
うどんや雑炊はもちろん、多くの方にとって定番の〆ですが、例えばすき焼の甘辛い割下と旨味を使ってカレーを作ってみたり、洋風に仕立ててリゾットにアレンジしてみるなど、〆の選択肢は実に多彩です。無限に広がるお鍋のフィナーレをどう彩るかを考えるのは、食卓の大きな楽しみでもあるのです。

”鍋の〆”という日本の食文化

私たちが当たり前のように楽しんでいる鍋の〆ですが、まず卓上で皆がひとつの鍋を囲む様式は江戸時代末期から明治時代にかけて定着したとされています。当時は煮炊きした具材をおかずとして白飯とともにいただくスタイルが一般的でした。
お鍋の終わりに旨味が凝縮したお出汁で雑炊などを仕立てる作法は、もともとすっぽん鍋やふぐ鍋といった料亭や専門店の知恵がきっかけのひとつと言われています。
食材の命を無駄にすることなく、その美味しさを最後まで余すところなくいただく___。
日本人が大切にしてきた「もったいない」を慈しむ精神と職人のこだわりが結実した、日本ならではの美しい食文化です。
昭和に入り、卓上コンロや工夫を凝らしたお鍋のつゆがご家庭にも普及すると、この粋な味わい方は日常の食卓へと広がりました。具材の旨味がすべて溶け出したお出汁を最後まで味わい尽くす〆は、お鍋という宴を最高のかたちで締めくくる大切な文化なのです。

人形町今半の〆

全国各地や各ご家庭で個性豊かな〆が親しまれているなか、人形町今半ではすき焼の締めくくりとして「ふわ玉ご飯」をご提供しております。

すき焼をお作りした後の鍋には、お肉の上質な脂とお野菜の甘み、そして割下がひとつになった旨味が残ります。この宝物のようなお出汁をすべて抱き込むように、溶いた卵を鍋に回し入れ、絶妙な火加減でふんわりと仕上げて、そのまま炊きたての温かい白飯の上へ。
お肉のコクと濃厚な割下の芳醇な香りを纏った、とろとろふわふわの卵がご飯に絡み合って、お口いっぱいに贅沢な余韻が広がります。良いお肉と厳選した食材のお出汁が浸み込んでいるからこそ、最後のひとさじまで極上の味わいをご堪能いただけます。

ふわ玉ご飯 秘話

今でこそ多くのお客様にお楽しみいただいているふわ玉ご飯ですが、
誕生のきっかけはお客様との温かい交流にありました。

1993年頃。現・代表取締役社長の髙岡哲郎が新宿で店長を務めていた時代にさかのぼります。当時の人形町今半の〆の定番といえばうどんでしたが、お客様のご要望に合わせておじや風や焼きラーメンを作るなど、自由で活気あふれる魅力もありました。
そんなある日、ご常連のお客様から特別なリクエストをいただきました。髙岡はそれにお応えし、お肉やお野菜の旨みが凝縮した鍋に卵を回し入れ、ふんわりと仕上げてご飯に乗せてご提供したのです。このおもてなしは評判を呼び、いつしか「店長スペシャル」としてご常連様の間で親しまれる名物となっていきました。

2010年1月。テレビ番組で店長スペシャルが紹介されると、初めてご来店されるお客様からのご要望も増えていきました。
当時の「店長スペシャル」はどこか気取らない賄い料理のような趣を残していましたが、人形町今半としてすべてのお客様に最高のおいしさをお届けするため、一品としての完成度を高める本格的な仕立て直しがその年行われました。

現場のスタッフが試行錯誤を重ね、一番おいしく仕上がる卵の火の通し加減やタイミングを追及。名称も「ふわ玉ご飯」へと生まれ変わり、山椒や茗荷、浅葱といった季節の薬味を添える工夫を施すことで、洗練された名物料理へと進化を遂げたのです。

お鍋の旨味を余すことなく閉じ込めたふわ玉ご飯。
人形町今半でしか味わえない至福の締めくくりを、ぜひ一度ご賞味くださいませ。

最後に、店長スペシャルの頃から人形町今半のふわ玉ご飯を愛してくださっている、
㈱味の手帖 取締役編集顧問マッキー牧元さんによる「ふわ玉ご飯の作り方」の記事をご紹介致します。