【オフィシャル】人形町今半

移りゆくおせち、変わらない”願い”

2026年10月13日

― 時代とともに受け継がれる、おせちのかたち ―

お正月のご馳走のひとつとして登場する「おせち料理」。
定番食材としては、黒豆、数の子、田作り、海老、伊達巻などありますが、
どうしてこれらの食材が、おせち料理に登場するのかご存じでしょうか?

おせちに入っている料理には、一品一品に意味があります。
「今年も元気に過ごせますように」「家族が幸せに暮らせますように」――。
昔の人は、身近な食べ物に新しい一年への願いを託してきました。
そこには、食べ物を通して一年の幸せを願う、日本のお正月の文化が息づいています。
今回は、そんなおせち料理に込められた「願い」に目を向けながら、時代とともに変わってきた現代のおせち事情をご紹介します。

おせちは「願いを食べる料理」

まずは、代表的なおせち料理を見てみましょう。

田作りは、昔、カタクチイワシが田畑の肥料として使われていたことに由来し、豊作への願いが込められています。

数の子はニシンの卵。たくさんの卵を持つことから、子宝や子孫繁栄を願う料理です。

黒豆には「まめに暮らす」という言葉を重ね、健康で勤勉に過ごせるようにという願いが込められています。

長いひげと曲がった腰を持つ海老は、腰が曲がるまで元気に長生きできるようにという長寿の願い。

巻物のような形の伊達巻には、学問や文化が身につくようにという意味があります。

紅白の色がおめでたい蒲鉾は、半円形が日の出を表すことから新しい年の門出を祝う意味が込められています。

「よろこぶ」に通じる昆布巻には、喜びへの願いが込められています。

※おせち料理のいわれや意味には、地域や文献などによって諸説あります。

こうして見てみると、おせちは「食べる縁起物」ともいえそうです。

しかも、これらの意味は単なる語呂合わせだけではありません。食材の姿や色、昔の人々の暮らしなど、身近なところから生まれたものも多くあります。
たとえば田作りを見て「なぜ魚なのに“田"作り?」と思いませんでしたか?
その名前の背景には、魚を肥料として使っていた農村での営みがありました。
おせちを前にしたら、まずは「いただきます!」と箸を伸ばしたくなるところですが、少しだけその手を止めて料理に込められた「願い」に目を向けてみるのも面白いものです。

現代のおせちのかたち

現代では、自由な形のおせちが広がっています。
2026年楽天市場のおせちに関する調査では、「一部を手作りし、一部を購入する」という人が57.7%と最も多く、ご家族の人数に合わせて量を選んだり、和食だけでなく洋風の料理を取り入れたり、それぞれの暮らしに合わせて楽しむスタイルが見られました。
また、「好きなものだけが入ったおせち」や1~2人向けのおせちへのニーズも見られています。
こうした変化は、おせちが「昔から決まった料理を食べるもの」から、「家族の好みや暮らしに合わせて楽しむもの」へと、そのかたちを広げていることの表れなのかもしれません。

和食だけでなく洋風の料理を取り入れる、という側面で見てみますと、定番の枠にとらわれない新しいメニューも広がっています。
実際に近年のおせちを見てみると、合鴨のスモークや豚角煮、チャーシュー、ローストポークなど、さまざまな肉料理が一つのお重に並ぶ商品も見られます。
そんな肉料理の中でも、現代のおせちで親しまれている一品がローストビーフです。
人形町今半の2026年新年おせちアンケートでは「入っていると嬉しい食材」ランキングで上位42%としてローストビーフが最も多く挙げられました。

では、なぜローストビーフはおせちに取り入れられるようになったのでしょうか?

その背景の一つとして考えられるのが、おせちそのものの「洋風化」です。昭和40年代には、ローストビーフや鴨肉、スモークサーモンなど、従来のおせちにはなかった料理が正月料理に登場するようになったとされています。さらに、洋食を取り入れたおせちの先駆けとして知られる三笠会館では、フランス料理のオードブルをバスケットに詰めて届けるスタイルから洋風おせちが始まり、当時人気だったローストビーフもその中に入っていました。

おせちはもともと、年始に料理を作る人が休めるよう、保存性や冷めてもおいしく食べられることが重視されてきた料理でもあります。そう考えると、切り分けてそのまま楽しめるローストビーフは、現代のおせちに取り入れられていったのも、どこか納得できる料理なのかもしれません。

人形町今半がつくる、これからの日本のおせち

人形町今半のおせちも、こうした時代の変化に寄り添いながら、現代の食卓で楽しんでいただける料理を取り入れています。長い年月をかけて受け継いだ熟練の技と豊富な経験。そこに職人のこだわりを重ね、伝統と新しい味わいを一つのお重にお詰めしています。
なかでも、牛肉料理と向き合ってきた人形町今半ならではの一品が、ローストビーフです。昔から受け継がれてきたおせちの「願い」を大切にしながら、今の時代にもおいしく楽しんでいただける味わいをお届けしています。

お正月という特別な日に、家族や大切な人と食卓を囲む。 そこに並ぶ料理には、昔も今も、「今年も良い一年になりますように」という願いがあります。料理のかたちは変わっても、新しい一年への願いを食卓に託すという文化は、これからも受け継がれていくのではないでしょうか。

参考文献:
• 三笠会館ものがたり EPISODE11 はこちら
• 楽天市場「2026年のおせちに関する意識調査と販売傾向」のプレスリリースはこちら