人形町今半には名物研修があります。それが約1年の調理場研修。本物の板前修業を受けるんですよ。これ、誰に聞いても「ものすごくつらかったけど、後から考えると最高の経験だった」と言うと思います。今では僕もそれに賛成するけど、当時はつらいなんてもんじゃなくて、研修中に3回、「もう辞めます」って人事に宣言しました。副社長が飛んできて「今辞めても何も残らない、ただの負け犬だぞ」と諭されて、何とか踏ん張りましたけど(笑)。
念のために言うと、あの頃はまだ調理場が「料理人を目指すわけでもない大卒」をどう 受け入れていいか研修のルールができていなかったし、自分自身何を、どこまで手を出し
ていいのかわからなった。消極的だったかな。夏を過ぎた頃、先輩から「自分から積極的にやれ」と活をいれられ、調理場が楽しくなりました。仕事を任せてもらえるんです。研修も終わりの頃、「鈴木は調理場に残るんだろ」の一言、一年間かけて、初めて調理場の一員として認めてもらえた最高の瞬間でした。
接客は、お客様に教わる。・・・
研修が終わって始まったサービスの仕事は、本当に面白かった。人形町今半では、サービス担当者がお客様の席ですき焼を炊きます(この会社では「炊く(たく)」と言います)。
僕らのお店にはフェルトで作った肉・野菜があって、まず、それで炊き方の練習をします。 慣れてきたら練習で実際のお肉を炊いて、店長のOKがでたら、お客様の前でお炊きします。
人形町今半には、もう何年何十年と通ってくださるご常連様が多くて、新人はまずそんなご常連様を担当します。その中から生きた話術、知識等を勉強するんです。すごいことですよね。 |